モカコーヒーの由来と価値:イエメンからベトナムへの旅

モカコーヒーの起源

モカコーヒーは、紅海沿岸に位置するイエメンの港町モカに由来します。中世までさかのぼると、ヨーロッパからアラブ世界への旅の途中で、宣教師マルコ・ポーロが偶然モカでコーヒーを購入したと伝えられています。しかし、実際にモカコーヒーがヨーロッパに広まったのは17世紀になってからで、イエズス会の司祭ペドロ・パエスの働きによるものでした。モカはインド洋とアジアを結ぶ戦略的な位置にあり、貿易の拠点として栄えました。

本物のモカと市場の混乱

現在の市場では、「モカ」と称する偽物が多く、本物のモカコーヒーは見分けがつきにくい状況です。多くの消費者は名前だけを知っており、実際のモカ豆がどのようなものかを知らないことがほとんどです。ベトナムでは、モカは主にダラットのCầu Đất地域で栽培されていますが、収穫量が少なく病害虫に弱いため、多くの農家はより生産性の高いカティモール種に切り替えています。それでもなお、一部の農家はこの伝統品種を守るために努力を続けています。

モカコーヒーの経済価値と価格

高品質で知られるモカコーヒーは、市場で非常に高値で取引されています。現在、高級モカコーヒーは1キログラムあたり2,300万ドン(約1,000米ドル)以上で販売されることもあります。価格の高さから消費量は多くありませんが、その独特な風味と希少性ゆえに愛好家からの需要は根強いです。

モカコーヒーの保存と未来

かつて日本からの投資プロジェクトが、ダラットの農家に対してモカ品種の保存を促すために、買い取り保証を提案したことがありました。しかし、様々な理由によりこれらのプロジェクトは期待通りの成果を上げることができませんでした。それでもモカコーヒーは、世界中のコーヒー通にとって特別な存在であり続けています。今後、この品種を持続的に育成・発展させていくためには、より強力な保存活動が求められます。

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